抄録
AC-3(A-5赤室の葯培養による再生系統)の種子に20kRのガンマー線処理を行ってM2代集団を水田条作で養成したところ1~2本の分けつより成る突然変異体が見出された.この後代の少分げつ型系統(N-133)は,水田条件において1ないし2本の分けつを有する矮性型であった.N-133とA-5の交雑組合せのF1は正常型となり,F2では正常型:少分げつ型を3:1の比に分離した.従って本形質には,単純劣性遺伝子(rcn)の関与していることが明らかになった.蓬原・山口(1963)のさきに見出した少分げつ型と比べるならば,今回の少分げつ変異体は不稔性を示さぬ点で異なっており,おそらく関与遺伝子を互いに異にすると考えられる.N-133と各種の矮性型系統との交雑組合せのF1では正常型を示し,F2の分離においてはrcnが各種の矮性遺伝子,d-2(夷),d-3,d-4,d-5(分げつ矮稲)およびd-10(豊光分矮)に対してそれぞれ上位的に作用する独立分離を示した.しかし,d-6に対してはd-6 rcn なる2重劣性遺伝子型が第2節間の短縮と顕著な矮性型を示し,rcn型やみd-6型と明らかに識別できて,独立の場合の9:3:3:1の分離比によく適合した.