抄録
ヒマ(Ricinus communis L.)の栽培品種であるArunaを用いて植物生長調節物質のdaminozyde(B9商品名Alar)処理の効果を調べた. 実験区として無処理区(水撒布)の外に500,1000および1500PPmの各処理区を設け,植物体の4~5葉期から7日おきに8回にわたり,葉苗撒布を行った。 処理効果としては開花までの日数が1500PPm区で雌花,雄花が共に無処理区に比べて有意に減少した.着花数も処理濃度の高まるにつれて,増加する傾向がみられ,無処理区における雄花数481.5,雌花数238.5に対して,1500ppm区では雄花数が570.5,雌花数が392.0に達した.最初の雌花の着飾位は無処理の7,2に比べ,各処理区では4.4たいしは4.5まで低くたった。性比(雄花数:雌花数)の変更が注目され,無処理区で2.02:1であったものが,1500Ppm区では1.4211とたった. 花粉不穏率は1500ppm区で無処理区よりやや高まったが,あまり大きな影響はみられなかった。果実数と種子数はいずれの処理区でも無処理区より有意に増加し,1500ppm区で最大となった. このようにdaminozideの効果は少なくとも品種Arunaに関する限り,性表現の変化に伴って,種子着粒までが増加した.