育種学雑誌
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イネの大粒性同質遺伝子系統における収量関連形質の環境反応
武田 和義斎藤 健一山崎 季好三上 泰正
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1987 年 37 巻 3 号 p. 309-317

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抄録

ヘテロ型反復自殖法で育成した大粒性主働遺伝子Lk-fに関する38の同質遺伝子系統対を岡山県倉敷市と青森県黒石市で栽培し,各種の形質に対するLk-fの作用とその環境反応を解析した.Lk-fは玄米の長さを1.2~1.3倍にすると共に草型をより長稈穂重型にした、一方,地域間の比較では倉敷は穂重型,黒石は穂数型となった.黒石では大粒系統の1穂重の増大が穂数の減少を補い切れないために小粒系統よりも低収とたる反面,倉敷では大粒系統の1穂重の増大が穂数の減少を上回って多収となった。Lk-fと遺伝的背景の相互作用はいずれの形質においても小さかったが,地域と遺伝的背景の相互作用は収量関連形質において大きかったので,それぞれの地域に適合した大粒系統が育成できるとみられた.

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