抄録
オオムギ野生種Hordeum bulbosum L.との属間交雑を利用して得たコムギF1雑種(Chinese Spring×フクホコムギ)の半数性幼胚からカルスを誘導した、これを液体培地に移し,振盤培養を10週間続けた結果,形状の異なる2種の懸濁カルスを得た。そのひとつは,脆い徴密な組成をもち,液体培地中で急速に増殖し,再分化培地に移植したところ,体細胞不定胚を経て少数の植物体の再分化がみられた.他の懸濁カルスは,遊離した単細胞および柔軟なカルスのほかに,植物体に再分化する能力をもつ体細胞不定胚を含んでいた.懸濁培養に対するコムギカルスの反応の差異について考察した.