育種学雑誌
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コムギ花粉胚状体からの緑色植物再分化能の品種間差異
島田 多喜子大谷 基泰
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1989 年 39 巻 2 号 p. 187-194

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抄録
日本のコムギ(Trilicum aestivum L.)7品種(系統)を含む9品種(系統)を用いて,葯培養によって形成された胚状体の緑色植物体再分化能について再分化培地と葯培養培地の影響,およびABAの効果を調査した.また,得られた再分化植物体の染色体数を調査した.花粉胚状体再分化率は二種の再分化培地によって差はなく,またPotato-2とC1培地の二種の葯培養培地による影響も殆どなく,品種間差異が大きかった.Chinese Spring,農林12号,Orofenでは緑色植物体が得られたが,農林61号,ナンブコムギでは高い胚状体形成率を示すにも関わらず緑色植物体再分化卒は極めて低かった.チホクコムギ,ハチマンコムギ,キタカミコムギでは胚状体形成率も再分化率も極めて低かった.また,ABAの効果を検討した結果,胚状体形成を促進したが,緑色植物体再生率を向上する効果はなかった.得られた緑色植物は約65%が半数体であり約35%は二倍体であった.
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