育種学雑誌
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オオムギにおける木石港3の縞萎縮病抵抗性遺伝子とエステラーゼ同位酵素遺伝子との連鎖関係
小西 猛朗河田 尚之吉田 久早乙女 和彦
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1989 年 39 巻 4 号 p. 423-430

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抄録
わが国のビール麦(二条種)にとって,縞萎縮病は重要な病害である.TAKAHASHI et al.(1973)は,世界の多くの品種や系統の中から縞萎縮病に対して強度の抵抗性を示す中国産の六条系統 木石港3を見い出し,その抵抗性が第4染色体に座乗する半優性のYm遺伝子によって支配されることを明らかにした.一方,小西・松浦(1987)は木石港3との交雑によって育成された抵抗性系統のエステラーゼ同位酵素遺伝子型を調べる過程で,多くの抵抗性系統が木石港3と同じ同位酵素遺伝子型を示すことを見い出した. そこで,著者らは抵抗性遺伝子(Ym)と第3染色体の長腕末端部に座乗するエステラーゼ同位酵素遺伝子群(Est1-Est2-Est4)との連鎖関係を明らかにするため,抵抗性遺伝子(Ym)をもつ系統と罹病性で抵抗性系統とはエステラーゼ同位酵素遺伝子型が異なる系統を交配した4組合せのF2個体についてエステラーゼ遺伝子型を調べた.さらに,それらのF3系統を用いて,縞萎縮病に対する反応を調査し,両遺伝子座間の組換価を推定した.組換価は1.26~5.01%であった. このことから,幼苗の第1葉先端部を用い,でんぷんゲル電気泳動法によってエステラーゼ同位酵素の遺伝子型を調べ,木石港3と同じ遺伝子型のものを選抜すれば,高い碓率でYm遺伝子をもつ抵抗性個体や系統が得られると考えた.
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