育種学雑誌
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イネ胚のカタラーゼ活性とその低温発芽性との関係
谷田 昌稔
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1996 年 46 巻 1 号 p. 23-27

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抄録
イネの低温発芽性は品種によって大きく異なるが(Fig.1),その生化学的原因は未解明である.著者は,近年注目されている活性酵素の除去系酵素のうちカタラーゼについて低温発芽性との関係を調べた. イネ種子胚のカタラーゼ比活性は浸水後発芽にともなって上昇したが(Fig.2),その程度は低温発芽性の高い品種で高いことが明らかとなった.さらに興味深いことに浸水前の種子(保存状態の籾)の胚にもカタラーゼ活性が検出され,しかもその値(初期値)は品種によって異なった.そこで,21品種についてカタラーゼの初期値を調べそれと各品種の低温発芽性との関係を調べたところ,低温発芽性の高い品種はカタラーゼの初期値も高いと言う関係が見いだされた(Fig.3).ちなみに,カタラーゼと関係の深いスーパーオキシドディスムターゼ(スーパーオキシドをカタラーゼの基質である過酸化水素に変換)の初期値との関係も調べたがこの酵素と低温発芽性との相関は認められなかった
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