抄録
発芽時と幼植物における耐塩性が極強および極弱の品種を含む8品種を材料に正逆総当たり交雑を行い,2つの生育ステージにおける耐塩性のダイアレル分析を行った。発芽時の耐塩性は相加・優性モデルに適合する量的遺伝子に支配されており,その平均優性度は1.47で耐塩性の弱い方向が優性であった。遺伝率の推定値は狭義でO.75,広義で0.99と高い値を示した。幼植物の耐塩性では,遺伝子の相加的効果は優性効果よりも大きく,平均優性度は0.52と推定された。また,エピスタシスはみられず,耐塩性の強い方向が優性であった。遺伝率の推定値は狭義でO,75,広義でO.85といずれも高かった。発芽時と幼植物における耐塩性の遺伝様式は異なり,両者は別々の遺伝子に支配されていることが明らかとなった。