抄録
ハクサイにおいて,小胞子からの胚横体形成能及び植物体再生能の品種・系統間差異を調査した。小胞子1×105個当りの胚横体形成数及び植物体再生数に有意差が認められた。日本型ハクサイでは胚横体形成数および植物体再生数が著しく少なかった。‘Hsifu Early 30 days'は胚横体形成数が最も多かったが,胚横体からの植物体再生率は低かった。‘Hsifu Early 30 days'と比較すると,‘Homei'は胚横体形成数は少ないものの,植物体再生数は有意に多かった。また、胚機体形成数と植物体を再生した胚横体の割合との間に相関が認められなかった。これらのことから,胚横体形成を支配する遺伝子と胚横体からの植物体再生に影響を及ぼす遺伝子とは異なっているのではないかと推定された。高再分化能を日本型のハクサイヘ導入するために,‘Homei'と‘野崎2号'とのF1を用いて小胞子培養を行った。これら再分化植物のうち,比較的日本型に近い形質を持ち,再分化能が高い系統の選抜が可能であった。このような高い植物体再生能を持つ日本型ハクサイの作出により,日本でのハクサイにおける半数体育種法の適用が容易になると考えられる。