育種学雑誌
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根端培養による連続的な子球形成を利用したニンニクの新たな急速増殖技術
Shahidul Muhammad Haque和田 富吉服部 一三
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1998 年 48 巻 3 号 p. 293-299

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抄録
本研究では,試験管内子球形成によるニンニクの急速ないし連続的な増殖のための新たな方法について試験を行ったものである。以前に行われた,小鱗茎(Clove)あたり1個の茎頂・基盤(Basalplate)・鱗片(Bulb scale)を使った急速増殖法に対して,著者らは最初の外植片としてニンニク品種ホワイト六片の,1個の小鱗茎あたり40本以上も得られる根端を用いた。外植片として根端を用いることにより,連続的な子球形成が認められた。このような経過の1サイクルは以下のような3段階で行われた。:(a)MS基本培地に1μM NAAおよび10μM BAを添加した培地上で根端から茎を形成した。(b)0.5μM BAを添加した培地上で形成茎数を増殖する。(c)12%しょ糖を含んだMS培地で小球根を形成する。1回のサイクルが終了したときには,試験管内で得られた根が次のサイクルの外植片として使用できた。1回のサイクルは4ヶ月以内に終了し,第1サイクルでは1個の小鱗茎あたり316個の子球が得られた。この方法では,10ヶ月以内に2回のサイクルを経過することにより,1個の小鱗茎から5,838個の子球を得ることができた。さらに,2回目のサイクルで得られた根について同様の実験を行った結果,その増殖率は2回目と同様であり,この増殖法の有効性が確かめられた。
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