育種学雑誌
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コスモスの育種学的研究II.花型の遺伝について(続報)
佐俣 淑彦
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1959 年 8 巻 4 号 p. 261-268

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抄録
コスモスに見られる種々の花型の分類,及び,基本的二花型である一重型・八重型・無弁型の遺伝的構成については既に前号に報告した。引き続きこれ等花型相互の交雑により次の諸点を明にした。(1)Np型とS型の交配のF1,F2,F3,B1等の分離よりNp型に異たった二つの遺伝子型のある事が推論さ.れた。一方は八重の遺伝子を含まず,F1で中間型のMs.型の表現をし,F2で両親型を3:1に分離をし,他方は、八重遺伝子を含む。このFlでは他の要素のために八重の表現が抑制されているが,世代を重ねるにつれ,次第に八重の表現率が高められて行く。(2)Np型とD型の後代からも上同様のNp型に二つの異なった遺伝子型の存在を暗示する分離が見られた。(3)実験結果を総合して,コスモスの花型の表現に関与する遺伝子として,舌状花の発達と筒状花の発達を支配する別々の遺伝子を想定し,更にその各々にいくつかの変更遺伝子の働きを付加して考えると,分離の結果が大体説明出来ることがわかった。
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