臨床化学
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P-ジメチルアミノベンズアルデヒド年よるピルビン酸の選択的呈色反応を用いる血清GPT活性の新測定法
影浦 光義大倉 洋甫
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1974 年 3 巻 2 号 p. 221-228

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抄録
血清トランスアミナーゼ活性の実用的な比色定量法としてReitman-Frankel法1) が汎用されている。この方法において試薬として用いられている2, 4-ジニトロフェニルヒドラジンはピルビン酸以外のケト酸とも反応してアルカリ性で呈色し, ピルビン酸の呈色を妨害するため, 基質の2-オキソグルタル酸を至適濃度以下で使用している。このため検量線は狭い範囲でしか直線性がなく, また活性単位が理論的に求められないので, これをKarmen法2) との相関から求めて使用しなければならないなどの欠点がある。
一方至適酵素反応条件によるトランスアミナーゼ活性の比色定量法として, Lippiらは酵素反応で生じたグルタミン酸にグルタミン酸脱水素酵素, NAD, フェナジンメトサルフェイトおよびテトラゾリウム塩を作用きせて有色のホルマザンを形成させ, その呈色を測定する微量法3) を報告している。しかし, この方法はトランスアミナーゼ酵素反応系以外の試薬によるトランスアミナーゼ酵素反応の阻害については明らかでなく, またグルタミン酸脱水素酵素, NADなどの不安定かつ高価な試薬を要するので, この方法を常用するには難点がある。
著者らは先に報告したP-ジメチルアミノベンズアルデヒドによるピルビン酸の選択的な比色定量法4) を血清GPT活性測定に応用するため検討を加え, その操作法を一部改良し, これを用いることにより, 至適酵素反応条件で一度に多数の検体を精度よく測定できる新しい比色定量法を確立した。
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© 日本臨床化学会
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