臨床化学
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酵素加水分解処理を用いた血清総脂質の脂肪酸分画測定法
畑中 徳子山本 慶和山中 亨松尾 収二
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2001 年 30 巻 3 号 p. 223-228

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抄録
血清中総脂質の脂肪酸の測定は, 栄養評価だけでなく多価の不飽和脂肪酸が血小板制御に関わるエイコサノイドの前駆物質であることから, 抗動脈硬化作用の評価にも利用されている。今回脂肪酸測定法の簡略化を目的に, 加水分解酵素を用いた脂肪酸測定法を検討した。血清をリポプロテインリパーゼ (LPL) にて加水分解 (酵素処理37℃2時間) し, 脂肪酸をすべて遊離型にした後 Folch液により10分間抽出した。フッ化ホウ素メタノールにて50℃10分, メチルエステル化を行った後, ガスクロマトグラフィーにより分析した。血清を用いた同時再現性は2~10% (n=10), 日差再現性は3~10% (n=10) であった。脂肪酸標準液500μgの添加回収率は91~104%であった。本法は血清中総脂質をLPLにて加水分解し, 脂肪酸をすべて遊離型にすることで, 脂肪酸の安定な低温短時間での処理を可能にした。
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