臨床化学
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ヒトLDHの臨床酵素学的研究
第1報: ヒト血清LDHの乳酸に対する2つのKm値
平野 哲夫前田 尚広池田 慶子米山 敏明切通 博己茂木 幸二松崎 廣子
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1978 年 7 巻 2 号 p. 169-176

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抄録
1) 活性値もpH-活性度曲線も緩衝液の種類によって, 僅かではあるが明らかな差異がみられ, その差は乳酸の低 (1mM) 高 (50mM) 濃度で質的に異なっていた。2) すべての緩衝液で, NAD+に対する2つのKm値が得られた。3) 乳酸に対しても, 2mMを境とした高低両濃度域で2つのKm値 (高濃度では2~3倍大きい) が存在することを明らかにした。ベロナール緩衝液中では, 他の緩衝液中でほぼ等しいKm値を示すのに対して, 約2倍の値を示した。4) H型およびM型それぞれのアイソザイムを多量を含む患者血清LDHも同じような現象を示したことから, 2つのKm値を持つ原因はアイソザイムによるのではなく, LDH分子自身の性質に基づくことが推定された。
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© 日本臨床化学会
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