抄録
現実の経済には, 限界便益と限界費用の乖離, すなわち歪みが存在している. 本研究の目的は, 市場に歪みのある空間経済を対象にした, 生活関連公共施設整備便益の新しい計量手法の提案である. まず, 歪みとして混雑の外部性と環境質の外部性を明示化したモデルを構築し, 経済厚生変化を経済変量で表現する便益計測式を2本導出する. 次に, 便益計測式に含まれる環境質に対する支払い意思額を推計する方法として従来研究にはない方法の提案を行う. 更に, 事前評価のために, 間接効果の予測方法を示す. 最後に, 提案した環境質の支払い意思額の推計方法に関して実証分析を行い, その妥当性を検討する.