2005 年 2005 巻 789 号 p. 789_83-789_92
有明海の流動等を解析する3次元数値モデルを使用して, 諫早湾干拓調整池への海水導入期間を含む2002年4月から6月までの3ヶ月間について, 流動, 塩分, 水温の再現計算を行った. この結果を諫早湾等で得られた現地観測データと比較したところ, 良い再現性が得られた. しかしながら, モデルの計算値と観測値に若干の差がみられたことから, 風, 気温および熱収支係数に対する数理モデルの入力条件等を変更して感度解析を行ったところ, 有明海北部海域における同モデルの再現性に改善がみられた. 以上のことから, 特に風と気温の入力値を精緻化することによって, 有明海全体の解析を主眼に置いて構築された本モデルが, 諫早湾等のより限られた水域での検討にも適応性を有していることが示された.