2005 年 2005 巻 803 号 p. 803_155-803_160
河川横断面内にて離散的に観測された流速値から流速の横断分布や流量を精度良く算定するために, 現地観測と数値解析を併用して, 新たなデータ同化手法に基づく河川流速・流量推定法を提案した. ここでは, 水深平均流速の観測値を同化データとして取り込んでいる浅水流モデル (力学的内挿法) に基づいて数値シミュレーションを行い, 流体運動の力学条件を満足した形で横断方向に空間内挿された流速データを得る. この力学的内挿法の推定精度や有効性を調べるために, 江戸川洪水流を対象とした数値シミュレーションデータや現地観測結果に対して本手法を適用した結果, 本手法は, 単に流速データを空間内挿する方法 (単純内挿法) よりも精度良く流速分布や流量を推定していることが示された.