土木学会論文集
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限界掃流力付近の流砂に関する研究
松梨 順三郎
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1957 年 1957 巻 51 号 p. 16-24

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抄録

河床において, 掃流の形式で輸送される流砂の問題を解析的に取り扱うには, 一つの重要な課題として, 砂の流動にともなって河床に形成される砂漣の発生機構を明らかにすることが大切である。すなわち流水の条件や河床の砂の性質がどのようなときに, 砂漣がいかに発生しまた発達するかなどを知る必要がある。そのための基礎的研究として, 一様粒径の各種の砂を使用し, 砂漣がまだ発生していない時の砂の運動状態, および砂の性質によつては砂漣が発生しないといわれているが, このような状態の河床の砂の流動現象を実験的に理解するとともに, 若干の理論的な考察を行つて次のような結果を得た。
(1) 限界掃流力附近では, 流砂を一つの流体運動とみなして取り扱うことも可能である。そしてこの考えのもとに, 砂漣が発生していない場合の流砂量式を導いた。それによると, 限界掃流力附近の流砂量は, 粒径によつてかなり異なつた傾向が認められる。
(2) 粒径0.075cmを限界として, それより大きい粒径と小さい粒径では, 砂漣の流砂量におよぼす効果を異にするようである。またこの限界附近の砂は, 砂それ自身としても流動しやすい特性をもつている。

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