土木学会論文集
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長大吊橋に用いるキャットウォークの一試案と, その風荷重応力および温度変化の影響について
村上 巳里三田村 武
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1968 年 1968 巻 151 号 p. 18-24

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抄録

吊橋架設に用いるキャットウォークはその自重が小さいため風荷重の影響を大きく受ける。特に長大吊橋のキャットウォークには耐風設計上特別な考慮が必要である。風荷重に対するキャットウォークの剛性はその水平張力に関係するが, これを増大するためには, そのサグが制限されているため, 自重を増すかまたはプレテンションを導入するかである、しかし前者は架設資材の重量が増すとともに風荷重も増大する結果となって有効な方法ではないと考えられるので, 本文では後者について検討を行なった。従来外国の長大吊橋 (わが国ではまだ長大吊橋の建設例がない) に用いられたキャットウォークは, その設計風速が小さいため, 特別な耐風設計がなされた構造ではない。すなわちストームケーブルに導入される張力はキャットウォークロープのそれにくらべて小さく, 吊材は鉛直である。通常長大吊橋のストームケーブルのサグは航行船舶の関係より制限され, その形状は比較的フラットなものになるため, それだけストームケーブルに大きな張力を導入しなければならない。ここに述べる試案はストームケーブルに大きなプレ張力を導入しキャットウォークロープを変形させるとともにその張力をも増大させることとし, さらに斜め吊材を用いてキャットウォーク断面を三角形断面にし, その剛性を増すようにした。本文はこのような構造のキャットウォークの風荷重に対する工学的特性を検討するため理論的解析を行なったものである.またキャットウォークの温度変化による変形はケーブル架設作業に大きな影響をあたえる。特に温度変化によるプレテンションの増減はキャットウォークの変形の大きな要因となるのでその理論的解析も行なった。

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