抄録
曲げ加工により発生する異形鉄筋の表面きれつの大きさが, 強度特性におよぼす影響を明らかにするために, 曲げ加工性の異なる3種の鉄筋を用いて, 曲げおよび曲げ戻し試験後に引張試験を実施して, 曲げ加工性と引張強度および伸びとの関係を検討した。つぎに, 表面形状や断面形状の相違するSD35~40級の15種の熱間圧延の高張力異形鉄筋を選び, 鉄筋素材の試験片およびガス圧接した試験片を用いて曲げ試験を行ない, 異形鉄筋の形状, および曲げ荷重の載荷方向, 曲げ角度, 曲げ戻し角度, 曲げ半径などの各種の試験条件が, 曲げ加工性におよぼす影響を明らかにした。この結果, 曲げおよび曲げ戻しによって発生したきれつの大きさおよび数を量的に表示した「きれつ係数」を用いて, 鉄筋の曲げ加工性を定量的に評価しうることを示し, さらに, 曲げ加工性を適確に評価するための試験方法を提案した。