抄録
近年, コンクリートの劣化の原因とされているコンクリート内外における物質移動を, 電気的に制御し, これを構造物の補修工法あるいはコンクリートの品質評価手法として用いることが試み始められている. しかし, 通電時におけるコンクリート中における各種イオンの移動メカニズムについては不明確であるのが現状である. 本文は, 自作の電解セルを用い, (1) 電流密度, (2) セル溶液の種類, および (3) 配合条件, を要因として取りあげ, これらが通電時のイオンの移動現象に及ぼす影響についての検討を行った. また, 通電時の移動現象と自然拡散を比較することにより, 両者の移動現象のちがいに関する検討も行った.