1995 年 1995 巻 528 号 p. 191-202
掘削土留め工の応力と変形に大きな影響を与える受働土圧の計算には, 古典的な極限土圧であるランキン・レザールの式, あるいはクーロンの式を, それぞれ粘性土地盤と砂質土地盤に使用しているのが現状である. これらの古典的な受働土圧の計算式は, 掘削工事での掘削幅の影響などを適切に考慮することはできない. この論文では二次元状態の粘性土地盤に限定して, 掘削幅や土留め壁表面のせん断抵抗を考慮し得る受働土圧の計算式を誘導し, その計算式に含まれる係数を弾塑性有限要素法の計算結果を用いて決定する. また得られた受働土圧の計算式の適用性を見るために模型実験との比較を行う. 結果として実用に供し得る受働土圧の計算式を提案する.