1996 年 1996 巻 550 号 p. 85-94
乾燥収縮による初期応力の存在が, コンクリートの曲げ強度の寸法効果にどの程度影響するかを明らかにするために, コンクリートの初期応力分布を実測し, その分布形状を実験的に明らかにした. 分布形状は, 供試体の寸法ならびに乾燥期間に応じて変化し, これを2次曲線で近似することは適切ではないことが示された. さらに, 材齢の進行に伴う各種材料特性値の経時変化を実験的に把握した. 破壊力学に基づく数値解析にこれらの情報を組み込むことにより, 曲げ強度の寸法効果における初期応力の影響を評価し, これを実験的に検証した. 検討の結果, 供試体寸法とコンクリート特性長さとの比の増加に伴い, 初期応力の影響が顕著となることが明らかとなった.