抄録
うねりが卓越する砕波帯内外で水位・水粒子速度・浮遊砂濃度を観測した. 入射波のエネルギーは周期8s程度の変動成分に集中していたが, 30s以上の周期で変動する成分も観測され, この長周期成分は海浜斜面上で部分重複波を形成していた. 砕波帯外では砂漣が存在し, 浮遊砂の発生は入射波の波群構造に対応していた. 砕波帯内では砂漣はみられず, 底質の巻き上げは砕波に伴う乱れに支配されており, 高濃度の浮遊砂の発生を伴う強い乱れは, 直前の波の谷の水位が低く, 沖向き流速が強い場合に生じる傾向があった. 浮遊砂フラックスは定常成分によるものが大きく, 長周期成分によるフラックスは定常成分の10~20%であった. 浮遊砂濃度や砕波帯内の流れの長周期変動は, 入射波の波群構造と密接な相関があることが確認された.