抄録
鋼製橋脚隅角部の梁一柱接合部を対象として繰返し載荷実験および弾塑性解析を行い, 低サイクル疲労挙動について検討した. 疲労亀裂は柱部材の角継手縦ビード表面上, 柱と梁のフランジ同士を接合するすみ肉溶接との交差部およびその近傍から生じており, 荷重の繰返しに伴って成長し, フランジを破断させている. ±10.8δyの繰返し載荷を受けた最も短寿命の試験体では3サイクル目に表面長さ数mm程度の亀裂が発見され, 21サイクルでフランジが破断した. 鋼素材の繰返し応力-ひずみ曲線を用いた三次元弾塑性FEM解析によって得られた亀裂発生位置の塑性ひずみ範囲と鋼素材の塑性ひずみ-亀裂発生寿命曲線から, 鋼製橋脚隅角部の亀裂発生寿命が精度良く予測できることが示された.