抄録
本論文はスパン1000mを超える長大斜張橋の静的, 動的安定解析を通し, 基本的な特性を明らかにするとともに安定性を確保できる最小の主桁断面形状設定に関する設計資料を提供している. 面内荷重を対象とした弾塑性有限変位解析, 桁の変位に依存して変化する風力を扱える有限変位解析, モード座標をベースとしたフラッター解析を用い, 試設計された桁幅, 桁高さの異なる4種類の断面を対象に安定性の検討を行っている. その結果, 横ねじれ座屈が生じる静的限界風速はフラッター風速に比べて低く, したがって風荷重作用下での安定性は静的問題に支配されること, また, 安定性が確保できる桁幅や桁高さのスパンに対する比はこれまでの設計で用いられてきた値に比べてさらに小さくできる可能性を明らかにしている.