抄録
本研究は前処理された中温消化汚泥による水素生成および微結晶セルロースの分解について, 回分実験によって検討したものである. 得られた研究成果の信頼性は動力学解析によって十分に確証された. セルロースを水素に転換する汚泥の特性は, 芽胞を形成する Clostridium 属の嫌気性細菌のものと類似している. 代謝物生成の誘導期の時間長さは初期のセルロース濃度によることが明確に示された. セルロース濃度が25g/Lをこえると, 汚泥の水素生成活性は水素によって著しく阻害された. 初期セルロースに加えて, 溶解性炭水化物の蓄積もまた代謝物生成の潜在能力に影響をもたらす重要な要因であることが明らかとなった.