2000 年 2000 巻 642 号 p. 77-86
長波近似方程式を多層連成させた非線形分散多層波動モデルは, 相対水深の大きな範囲にまで線形分散関係および2次の非線形干渉を精度良く表現できるとともに準3次元問題の取り扱いが容易であるという多層モデル特有の利点を有している. 本論文では, 計算効率の向上および準3次元問題への適用性向上をそれぞれ目的する2種類の新たな方程式系を提案して精度の理論的確認を行うとともに, 1次元での強非線形強分散波動場, 固定浮体の存在下での準3次元散乱波動場に対する数値計算を行い, 実験結果との比較通じてモデルの基本的適用性を検討した.