抄録
本論文は実測の鉛直アレー強震記録を用いて地盤の剛性とダンピングを逆解析する手法について述べたものである. 軟弱地盤では強震時に地盤剛性の低下, ダンピングの増大とともに非線形応答が生じる. このような剛性低下とダンピングの増加は強震時に刻々と変化する非定常な特性を示すことが多い. 本論文は地盤剛性ならびにダンピングの非定常変動を逆解析する手法に重きを置いたものである. ここでは従来の応力―ひずみのローカスを図的に解く手法と異なり, コンプレックスエンベロップを用いたより定量的な解析法が提示される. この手法は1995年兵庫県南部地震のポートアイランドでの鉛直アレー強震記録に適用され, 液状化に伴う同地盤の剛性とダンピングの非定常変動が解析される.