2000 年 2000 巻 660 号 p. 27-37
本研究では, 複数情報リソース下の逐次的な情報参照過程に着目した意思決定モデルの基本的なフレームワークを示す. 従来, 情報による行動変化の側面からのみ評価されてきた交通情報の価値について, 意思決定の不確実性減少の観点から交通情報の価値を再定義し, 期待最大機会損失の変化量として定式化した. さらに意思決定の逐次的プロセスに着目し, 不確実性コストを考慮した情報参照モデルのフレームワークを構築し, 実際の行動データを用いてケーススタディを行った. モデル推定の結果, 意思決定の不確実性の高いドライバーが交通情報をより参照にしていること, 複数情報リソースを提供することで経路選択の意思決定の不確実性が低減していることなどが明らかとなった.