交通空間はネットワーク構造を持つから, 交通行動の記述は時空間ネットワーク上でのパス (経路) の記述に他ならない. 行動データ収集のためのベースの調査手法は, 位置と時刻の精度が高いとはいえない. 移動体通信を援用した新しい行動観測手法は, この点を解決できる可能性を持つ. 一方, 交通網上での選択行動を集計しそのメカニズムをシステム的に記述するネットワークフロー分析は, どちらかといえば解析の容易性を重視して単純な行動規範を仮定する傾向にある. 解析の容易性を大きく損なわない範囲で, 行動の観測から得られるより現実的な行動ルールを組み込むことができれば, ネットワークフローモデルの説得力をさらに高めることができる. その方向性を検討するために, 本稿では経路選択行動の観測とフロー分析を意識した経路選択行動のモデル化について考察する.