抄録
本論文では, 水分特性曲線に与える要因の検討を行うために, 3種類の試験方法でサクションによる脱水曲線と吸水曲線を得た. 一つ目は, 初期状態 (含水比, 間隙比, 飽和度) の異なる水分特性曲線, 二つ目に, サクション履歴の異なる水分特性曲線, そして, 拘束圧条件の異なる水分特性曲線である. 得られた水分特性曲線は, その形状を定量的に評価するために, Brooks and Corey 式で近似し, 算出されたフィッティングパラメーターの値を比較した. その結果, 水分特性曲線は間隙比に大きく依存することが分かった. その効果は空気侵入値, 水侵入値に現れ, それぞれ間隙比の関数で表される. この関係を Toll の提案するサクション~間隙比/等価間隙比面に適用した新しいモデルを提案する. このモデルによって, 任意の初期状態から描く脱水曲線, 吸水曲線を予測することができる.