土木学会論文集
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祇園白川地区における都市形成と白川・琵琶湖疏水の役割に関する史的研究
田中 尚人川崎 雅史
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2001 年 2001 巻 681 号 p. 77-86

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抄録

本研究は, 京都祇園白川地区の水辺形成の基盤となった自然河川である白川と人工運河である琵琶湖疏水の近世から近代に至る流路変遷を明らかにし, 固有な水辺形成と水位安定の為の流路計画の総合発展的コンセプトを明らかにすることを目的とした. 結論として, 近世における白川は, 当地区の固有な水辺景観や防災機能を支える安定した水路網の形成を促すよう計画され, 近代における琵琶湖疏水挿入にも白川の水位安定を果たすための巧みな配慮がなされた. 近世の自然河川を巧みに利用した水辺形成の技術と, 近代的インフラストラクチャーによる総合的治水技術のハイブリッドな計画のもとに, 水辺を基盤とした固有な都市環境が歴史的に保持されてきたことが分かった.

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