抄録
NATMは, 計測と施工が一体化したトンネル掘削工法であり, その導入からすでに20年が経過している. この間に蓄積された計測データを有効に活用することにより, 合理的な山岳トンネル施工を目指すことは今後極めて重要となる. 日本道路公団では, 従来の地質的な記載が中心で, 地山状態を定性的に評価する切羽観察手法を改め, 切羽状態をより定量的に評価できる切羽評価法を提案した. そこで, 本論文では, この評価法により収集された6,101断面の切羽観察結果データベースを活用し, 切羽観察項目の寄与度を数量化する. そして, 湧水や劣化による評価点の調整方法について議論し, この切羽評価法を実際のトンネル施工事例に適用した際, 妥当な評価結果が得られたことを記述する.