2001 年 2001 巻 689 号 p. 183-199
構造物の振動特性の変化に基づく損傷同定手法は, 合理的かつ効率的な維持管理の実現にあたって有用である. なかでも振動モード形ま空間的な振動情報を反映しており, 高次振動モード形は局所的な損傷検出に対して有効であると考えられる. しかし, 実構造物の常時微動計測結果から振動モード形を同定することは, 微小振動からの情報抽出という精度上の問題, ならびにセンサー数の増大という実用上の問題が存在する. そこで, これらを克服するために, レーザードップラ速度計に着目し, レーザー照射角制御によるスキャニング計測が可能な常時微動計測手法と常時微動計測結果に基づく振動モード形の同定手法を構築した. さらに, 振動特性の変化のみから直接剛性・質量変化を同定する手法を理論展開するとともに, 模型実験を行い, その有効性を確認した.