抄録
原子力発電によって発生する放射性廃棄物の処分方法としては, 大深度地下に埋設する地層処分が最も有力視されている. しかし, 想定される大深度地下におけるトンネルの施工実績はほとんど存在せず, 処分坑道の設計手法の構築が課題となっている. 実績の存在しない大深度地下のトンネル設計を行う場合, 支配的な現象を再現できる設計手法が必要となるが, 本研究では不連続面性岩盤の変形において支配的なメカニズムであるジョイントのせん断変形, 開口を考慮できる解析手法であるMBC解析を採用し, トンネル支保設計手法の提案を行う. 既往地点の計測結果と解析結果の比較を行い, 変状を生じる最大せん断ひずみの限界値を定めた上で, 大深度地下トンネルの試設計を実施し, 必要覆工厚を種々の深度, ジョイント密度に対して算定した.