2002 年 2002 巻 712 号 p. 161-173
手賀沼を対象に, 流動および水質・底質結合モデルによって年間に亘る時空間変動のシミュレーションを実施した. 水質の実測値の縦断分布から, クロロフィルaやCODは流下方向に増大し, 無機態窒素・リン, 全窒素・全リンは減少すること, 根戸下ではクロロフィルaやCODが概ね暖候期に高く寒候期に低いこと, 無機態リンは暖候期に低く寒候期に高いことなどが, シミュレーションによって概略再現された. さらに, 年間に亘る全リンの物質収支から, 流入負荷量の5割が下流に流出し, 5割が湖底に堆積することが確認され, 底泥からの溶出フラックスは, 静的な条件下では流入負荷量の2割であった.