抄録
大陸棚周縁部には海底峡谷 (submarine canyon) と呼ばれる峡谷状の地形が見られるが, その成因の一つとして, 大陸棚上を流下する乱泥流 (turbidity current) と呼ばれる密度流が挙げられる. 本論文では乱泥流の運動方程式および連続式, 浮遊粒子の移流方程式, 乱泥流による海底地形変化を記述する方程式を組み合わせ, 線形安定解析の手法を用いることによって, 海底峡谷の初期形成機構について理論的説明を試みた. 理論によれば, 峡谷群の初期形成間隔は乱泥流の層厚のおおよそ1500倍~8000倍となることが明らかとなった. 乱泥流の層厚が10cm~1mのオーダーであるとすると峡谷群の間隔は150m~8kmとなり, 実際の間隔とも良好に一致する結果が得られた.