抄録
山岳トンネル掘削作業中の切羽付近の粉じん濃度分布や粉じんの挙動に及ぼす, 換気方式, 換気量, 風管の配置, 重機などの障害物の影響を数値シミュレーションにより検討した. 特に切羽近傍の粉じん濃度分布に着目し, 建災防指針に基づいた作業環境評価の妥当性を検証した.
換気方式によっては換気量増加は粉じん濃度の減少をもたらさないこと, 障害物後方の渦流れのため切羽―障害物間の粉じん濃度が大幅に増加すること, 直径10μm以下の微小粒子が空間内に滞留し, 壁面付着特性が排出粉じん量に影響を及ぼすこと,「建災防指針」に従った手法では切羽面近傍の高粉じん濃度領域を評価することはできないが, 評価に適当な領域も存在することを明らかにした.