抄録
本研究は, 斜面崩壊危険箇所評価における「素因と誘因の取り扱い上の問題」を整理するとともに, 共分散構造分析法を導入した評価アルゴリズムを構築したものである. 誘因情報 (降雨, 地震等) を画素単位では観測困難な「潜在変数」とみなし, 衛星データと地理情報 (素因) を「観測変数」とした. 測定方程式に基づいて誘因影響を逆推定するとともに「誘因影響図」を提示した. さらに, 素因のみ使用した場合の数量化理論モデル (従来手法) と誘因の影響を加味した共分散構造分析モデル (提案手法) から得られる崩壊危険箇所評価図の違いを抽出した「差画像」を作成し, 誘因影響図と併用することによって, 潜在変数としての誘因の影響を加味して今までにない視点から崩壊危険箇所評価が展開できることを示した.