抄録
衝撃荷重を受ける構造物の設計では, 衝撃力作用時の最大応答と静的荷重が作用するときの最大応答との比を動的荷重係数(D. L. F.: Dynamic Load Factor) として定義し, その値を用いて衝撃力を静的な荷重に置き換えて取り扱う場合が多い. しかし, 時間的に変化する荷重・変位や応力の最大値だけに着目する設計手法では, 衝突荷重に対する安全性が十分に検討されているとは言えない. そこで本研究では, 耐衝撃設計を確立する上で不可欠である「信頼性のある衝撃実験データを得る」という観点から, まず, 実験における衝撃荷重の計測に関する諸問題と計測波形の処理方法について考察している. すなわち, RCはり部材を対象として低速度の重錘落下衝撃実験を行い, 得られたデータに基づいて具体的な衝撃荷重の計測とその処理方法, および処理データの妥当性について検討している.