2003 年 2003 巻 725 号 p. 143-156
本研究は, X線造影撮影によりコンクリート構造物内部に発生している複雑で微細なひび割れの発生状況を精度良く非破壊的に検出する方法の開発を目指して行ったものである. コンクリート構造物をX線撮影するための条件として, コンクリート厚さと撮影時間との関係や, コンクリート構造物を透過したX線透過線量がX線フィルムに適度な濃度の像を写し出すための条件などを求めるための基礎的な実験を行った. また, コンクリート構造物内のひび割れを検出するためのフィルムと増感紙との最適な組み合わせ方や, ひび割れの検出条件についても検討を行った. さらに, 鉄筋コンクリート供試体に曲げひび割れを発生させ, 造影剤を注入し, X線造影撮影を用いてひび割れ先端位置の検出や, コンクリート供試体に発生したひび割れの内部形状を求める実験を行い, 本技術の実構造物に対する適用性を確認した.