抄録
本研究では, 高速嫌気性反応槽の一つであるUASB反応槽と接触酸化槽を組み合わせた室内実験装置を使用して, 都市下水を想定した低濃度有機性廃水をHRT4.5hで214日間連続処理し, 有機物と窒素の処理特性に及ぼす処理水循環と温度の影響について検討した. その結果, 接触酸化処理水のCODcr濃度は, UASB反応槽6~3℃ (接触酸化槽15~12℃) において平均30mg/l以下 (CODcr除去率平均92%以上) の良好な水質を得た. 窒素除去については, 循環比を2としたUASB槽内温度7℃以上でT-N除去率平均68%を得た. UASB反応槽内では, 循環なしの場合は, 硫酸還元菌がメタン生成菌より優先的にCODcrを利用し, 循環比2の場合は, メタン生成菌, 硫酸還元菌よりも脱窒菌が優先的にCODcrを利用していることが判明した.