抄録
本論は, 諫早干拓の環境の修復に関する価値について, 九州の諫早市, 長崎市, 北九州市を対象として仮想評価法 (CVM) により評価を行ったものである. 対象とした3市の住民に郵送方式でアンケート用紙を配布し, また, その際の支払い意思額 (WTP) の回答方法として, 一般的に用いられている二肢選択法 (DC) を用いた. その結果, 諫早干拓の環境修復の価値として, 諫早市では市全体で約2億円, 長崎市では約11億円, 北九州市では約27億円の価値を認めていることが分かった. また, 個人 (世帯) の支払い意思額は, 諫早干拓地からの距離が大きくなるにしたがって増加する傾向にあることが分かった. 市内部での支払い意思額のばらつきは, 諫早市で最も大きく, 距離が離れるほど小さくなっていた.