抄録
日本は古くから中国との交流があり, 特に江南地方との関係が深いと言われている. 日本佐賀県の吉野ケ里墳丘墓の源流は中国の江南地方に点在する土とん遺跡ではないかと考えられる. 著者らは吉野ケ里墳丘墓と中国・江南における四つの土とん墓に対して地盤工学的現場調査と室内試験を実施し, 吉野ケ里墳丘墓と江南土とん墓の盛土の地盤工学特性を明らかにした. 両遺跡の盛土はよく締め固められており, 当時の先端の土木技術が駆使されているようである. 両遺跡の構築には, 版築工法を使ったことが確認され, 共通の版築工法は両遺跡の密接な関連性を表している.