抄録
本研究では, コンクリートの振動掘削性能の向上を目指し, 一例として平刃によるセメントモルタルの振動切削特性に関して, 実験的考察を行った. その結果, 振動時切削抵抗である主分力は, すくい角π/9radにおいて, 切削速度0.35~0.95cm/s, 切削深さ0.8~1.2cmの範囲では, 振動周波数20Hz, 最大振幅0.3cmの正弦波形の場合, 無振動切削における主分力と比較し最大で70~80%の減少が見られた. また, 振動波形に関しては三角波の方が有効であることが理論および実験によって確認された.また, 無振動切削に対する振動切削時の最大主分力比率および比エネルギー比率は, 振動角速度と振幅の積を切削速度で除した速度比の増加とともに双曲線的に減少することを理論的に明らかにし, 実験によって検証した.