抄録
全国109の一級河川の魚類相について河川水辺の国勢調査データを用いて統計分析を行い, 次の成果を得た. (1) 全国で捕獲確認された魚種は183種であった. このうち, オイカワ, ウグイ, カワムツB型等の上位5魚種で全確認個体数の50%を占めていた. (2) 魚種別構成比に主成分分析を適用して各河川の魚種多様性を4つの主成分 (累積寄与率0.754) で表すことができた. 特に第1主成分は緯度 (河口地点) と強い相関が認められた. (3) 調査地点842箇所で魚類相と河道特性の関係を求めた. 特に多様度指数は河床勾配, 河道内緑被率と相関がみられた. (4) 河川形態や河道セグメントを用いて魚種別構成比や多様度との関係を求めて, 河道縦断的に魚類相の変化を定量化することができた.