抄録
本研究は河川底生動物への人為的インパクトの影響を予見的に評価する回復予測モデルを開発した. このモデルは底生動物のバイオマスの経年変化を記述する群集動態モデルがベースになっており, Pulse 型 (一時的) インパクトの影響を回復率と生態学的損失時間 (ELT) の2指標によって評価するモデルとなっている. このモデルを東京都の延べ70地点に適用し, バイオマスが0.08倍に低下するインパクト (土木工事) を仮想して回復予測を行った結果, ELTが1年以内の地点は延べ35地点 (50%) を占め, 底生動物が有する高い回復能力が確認された. また, 算出された回復率とELTの値を各地点の環境状態から考察したところ, これらが Pulse 型インパクトの影響評価指標として有効であることが示された.