抄録
水を使わずかつ資源回収が可能なコンポスト型トイレが現在の流域・都市の水循環が抱える問題を解決するものとして注目されている. しかし, コンポスト型トイレは水洗トイレとは異なり, 排泄物を生活環境内にとどめておくため病原微生物の二次感染について留意する必要があると考えられる. 本論文では, コンポスト型トイレの衛生学的安全性を調べることを目的とし, 従来の水系病原微生物リスク評価をコンポスト型トイレに適用して, 病原微生物の二次感染リスク評価を行い, コンポスト型トイレに要求される病原微生物除去率や必要処理時間について考察した. 結果としてウイルスの方がリスクが高く, それに応じてトイレ内での必要除去率も高くなることが示唆された. また, 井戸水を介した間接暴露においても, 直接暴露に匹敵するリスクが生じる可能性についても示唆された.