抄録
多くの社会資本整備事業は, 経済的活動と相関をもって不確実に変動するキャッシュ・フローを発生させる. 本研究では, このような事業を“市場で取引されていない資産”と見なし, その合理的な取引価格を動学的な枠組みの下で評価する手法を提案する. 本手法は, 以下の2つの特徴をもつ: 1) 市場で観測される証券・資産価格に整合的なリスク評価値を活用する; 2) 事業の売買を行う取引主体を導入し, そのリスク選好情報を明示的に考慮する. 本研究では, まず, 無裁定原理に基いて, Arrow-Debreu 状態価格に相当する Stochastic Discount Factor を, 証券・資産価格から推定する動学モデルを定式化する. 次に, この問題が, 効用最大化原理に基づいたリスク・ヘッジ問題に帰着することを明らかにする. 最後に, モデルの特性を活用した解法を開発する.